嘔気・嘔吐の鑑別と治療薬の使い方
どうもKyです!
今日は吐気・嘔吐について
おおまかには嘔気・嘔吐の人が来たときには
①緊急疾患の除外
②嘔気のメカニズムからどこの異常かを推測する
③原因の除去と、各臓器に合わせた制吐薬の選択
という流れになるかと思います。
①に入る前に
嘔気・嘔吐の鑑別の覚え方として
NAVSEAを知っておきましょう
意識障害のAIUEOTIPSと同じで鑑別疾患を覚えるのに役立ちます。
Neuro CNS:頭蓋内圧亢進(腫瘍、出血、髄膜炎)、脳循環障害(梗塞、偏頭痛)
Abdominal:消化管・腹膜系(急性胃腸炎、逆食、胃十二指腸潰瘍・腸閉塞・肝炎・膵炎・胆嚢炎)
Vestibular:前庭神経(前庭神経炎・BPPV・メニエール病)
Somatopsychiatric,Sympathetic:心身症・交感神経の興奮
Electrolyte,Endocrinologic disorder:電解質や内分泌の異常(高Ca血症・DKA)
Addiction:中毒(オピオイド・抗がん剤・ジギタリス・テオフィリン・アルコール)
別記事でも書く予定ですが、鑑別疾患の暗記は欠かせませんので少し無理してでも覚えましょう。
さて、嘔気・嘔吐の患者さんをみたらまず
①緊急疾患の除外です。
除外すべき疾患は、脳出血・脳梗塞・急性心筋梗塞・膵炎・イレウス・胆嚢炎・DKAなどでしょう。
これらの除外ができたら
②嘔気のメカニズムからどこの異常かを推測する
嘔気・嘔吐には中枢性と末梢性があり、
中枢性は
1.嘔吐中枢への刺激によるもの(アセチルコリン受容体、ヒスタミン受容体、セロトニン受容体)
2.化学受容体誘発帯(CTZ)を介した刺激(ドパミン受容体、セロトニン受容体)
3.大脳皮質への刺激
などがあります。
末梢性には
1.脳以外の臓器(消化管など)への刺激で迷走神経や交感神経を介して嘔吐中枢へ伝わるもの(ドパミン受容体、セロトニン受容体)
2.迷路刺激(ヒスタミン受容体)
③原因の除去と、各臓器に合わせた制吐薬の選択
②であげた原因部位にはそれぞれの受容体があります。
青で色をつけたものがそれです。
この受容体にあわせて薬剤を選ぶと失敗が少ないと思います。
セロトニン受容体→カイトリル・ゾフラン・セロトーン
ドパミン受容体→プリンペラン・ナウゼリン・フェノチアジン系(ノバミン)・セレネース
例えば、よく聞くプリンペランはドパミン受容体に対する拮抗薬です。
つまり消化管やCTZが原因と推測される場合に処方するのが良いでしょう。
嘔気・嘔吐の原因として消化管によるものは非常に多いので、嘔気・嘔吐にプリンペランを処方する医師が多いのも経験的にそれを知っているからなのだと思います。
(薬剤の商品名は、医師国家試験で必要なものはほとんどありませんので無理に覚える必要はないかと思っていますが、見慣れる聞き慣れるだけでも臨床に出たときにとっつきやすいと思って書いています。
ですのでサラッと流していただいて構いません)
ではでは!
他の症候の鑑別はこちらをどうぞ