失神の鑑別
どうもKyです!
今日は失神の鑑別です。
失神とは、退位保持が困難な意識消失発作を指します。
通常、突然発症し短時間持続したあとに自然に回復します。痙攣と違い、意識回復後にぼーっとした感じが残ることはあまりありません。
痙攣との鑑別はこちら
失神と痙攣どちらも周囲の目撃者からの情報が重要となりますので覚えておきましょう。
失神の原因は大きく4つに分かれます。
神経原性:迷走神経反射、頸動脈洞過敏性
起立性低血圧:調節障害、循環血液量減少性
不整脈:SSS,完全AVB,PSVT,VT
心血管原性:AS、HOCM、AMI、PTE、大動脈解離
原因の多くは神経原性です。つまり、血管迷走神経反射によるものや頸動脈洞の過敏性亢進によるものが多いということになります。
しかし、見逃してはいけない疾患として、
急性心筋梗塞や不整脈、肺塞栓症や大動脈解離、消化管出血による循環血液量減少、一過性脳虚血発作
などが挙げられます
これらは病歴や身体所見から除外できるものをまず除外する必要があります。
座位での失神は心血管原性や不整脈を疑いましょう。
不整脈等の精査のためにも、失神をみたら全例で心電図は取るようにします。
また、頭部打撲などをみたときにその原因が失神であることも少なくないので、失神によるものを鑑別に挙げながら外傷患者を診る必要もあるかもしれません。
失神の中で最も多い血管迷走神経反射性のものは、
若年者に多い
失神前の悪心・ふらつき・発汗
注射前後など過度の緊張
これらがキーワードとなります。
国試では、学生の全校集会で長時間立ちっぱなしで失神をきたしたという問題もあったので長時間の直立不動というのも重要なキーワードの一つと言えるでしょう。
頚部を曲げたり頚部の刺激で誘発される高齢者の失神ときたら
頚動脈洞失神
黒色吐物やNSAIDSの内服歴、黒色便などを伴った患者さんの起立後の失神ときたら消化管出血による循環血液量の減少を考えるべきです。
夜間や食後安静時などの失神・突然死
40歳前後の男性
突然死の家族歴
ときたらBrugada症候群でしょう
このとき心電図では右脚ブロック様の波形やV1~V3でのST上昇がみられることがあります。
所見がはっきりしない場合にV1~V3を通常より1肋間上で記録すると典型的な所見がみられることがあるようです。
このように失神はさまざまな原因で起こることがあり、患者本人に加え周辺の目撃者からの情報聴取が大事となります。
赤文字の疾患のように見逃すと危険な疾患も多いのでそれらの除外は最低限できるようそれぞれの疾患の特徴を勉強しておくと良いでしょう。
PostccOSCEでも研修医でも重要となる症候別の鑑別について失神以外はこちら
失神をみたときの対応についてはこちら
ではでは!